《MUMEI》
就寝・出発
「で? 俺は寝るけど、お前…」

「おやすみ!」


その後、俺はダッシュで自分の部屋に戻り


一応、鍵をかけて寝た。






翌朝。


やっぱり台所に立つ忍に違和感を感じつつ、俺達三人は、忍の作った朝食を食べた。


そして俺は時間ギリギリまで護と話したかったが


『飛ぶ姿が見たいです』


そう言われて、今日も飛び込み台から飛んだ。


飛ぶ瞬間は、やはり快感で

そんな俺を、護は嬉しそうに眺めていた。


(気のせいか?)


時々護は俺ではない誰かを見ているような気がしたが


(旦那様だろうな)


そう思った。


そして、俺は、夕方アパートに戻った。


別荘を出る時、俺は普通に挨拶したが護は『また』とは決して言わなかった。


ただ、一言。


『さようなら、祐也様』


そう言って、優しく笑っただけだった。


(挨拶あっただけマシかな)


何も言わずに自殺した旦那様に比べたら


笑って挨拶した護や


春日さんは、優しいと思えた。


(春日さんに会いたいな)


忙しい夏休みになってしまい、俺はそれだけが不満だった。

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