《MUMEI》

「僕もですよ、アンリ様──」

貴女様が居て下さって、本当に良かったです。

これ程幸せに思う事はありません。

「少し休憩しようか」

僕の手を引き、ベッドに御掛けになるアンリ様。

「私ね、リュートに会う前は──お世話してくれる人なんていらないって、ずっとそう思ってたの。リュートみたいに側にいて欲しい人がいなかったから」

「そう‥なんですか‥?」

「うん。だからね、リュートが来た時も、初めはちょっと不安だったんだけど──‥でもすぐ安心したの」

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