《MUMEI》
「大丈夫か!」
「…………は……」
気がついたら、なぜか私はアスファルトに正座していた。
犬を捕まえていたおじさん二人が私に一生懸命話かけてきている。
「よかった、大丈夫そうだ、それにしても……
犬が車に飛び込むなんて
おかげでこの子ぶつからずにすんだけど」
−−−−え?
「イヤアッッッッ!!」
血まみれになり横たわる犬。
私は腰の抜けた状態で必死に犬の傍に行く。
「待ってよ〜!!
まだ!まだ好きだって言ってないのに本当にさよならするなんて酷い!!
イヤア!!死んじゃイヤ〜ア!!」
「勝手に殺すな!まだ生きてる!助けるぞ!」
え?
恐る恐る振りかえる。
そこには!!
「いっ!犬が二匹!!」
朝の男が立っている!
「おじさん!病院までお願いします!
この犬飼いますから助けてください!」
男は保健所のおじさんに助けを求めている……
「君!乗って!」
「え?」
「早く!」
「は、はい!」
なぜか男にそう言われて、私は保健所のおじさん達、男と一緒に動物病院へと向かった。
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