《MUMEI》

「やれやれ‥」

 何日経っても、雛菊は現われない。

 あの姫は自分が何処にいるのかすら分からないのだから、追いかけてくるにも相当な困難を要するであろう事は分かっているつもりだった。

 だが。

 微かに期待していた事も否定は出来ない。

「──────‥」

 もうじき日が暮れる。

 雛菊は何処で眠るのだろう。

 いつ、会えるのだろう。

「困ったなぁ‥」

 居場所が分からない以上、彼にはどうする事も出来ないのだ。

「何かいい方法はねぇもんかな──‥」

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