《MUMEI》
縛る声(櫻視点)
どうして


どうして?


どうして!?


蒼様が私を呼んでいるのに

蒼様に呼ばれているのに


足が


体が


動 カ ナ イ


口も、動かない私は


ただ、涙だけを流して


蒼様を見つめていました。

そんな私に向かって、蒼様は不思議な事を言いました。


《やれやれ、煩い百人目だ》


え…?


この声…


この声、私


知 ッ テ ル


それは、繰り返し


《忘れなさい》


そう、私に囁いた、声


でも、不思議…


今日は


《眠くならない?》


ビクッ!


何で


何で…


《わかる》


《櫻の事なら、何でも、わかる》


そうして


その声の主は


私を後ろから抱きしめました。

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