《MUMEI》 「──‥?」 慌てて飛び起きると、もう明け方。 草助は黒鞘を手に荒ら家を出る。 「だいぶ寝ちまったなぁ‥」 寝癖の付いたままの髪を気にも留めず、若人は歩き出す。 「──いねぇよなぁ‥」 呟き、辺りを見回すが、人一人いない。 いっその事、城の方へ戻ってみようか。 だがそこで、彼は雛菊の言葉を思い出す。 『逃げたら、二度とここには近付くな』 自分の身を案じての雛菊の策。 もし城に戻ったなら、あの姫は自分を怒るだろう。 そして、またいつかのように気まずくなってしまうだろう。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |