《MUMEI》

 ぐるぐると考えを巡らせる内、

「‥っ?」

草助は気配に気付いた。

 だがそれは、あの姫のものではない。

(賊か‥)

 刹那、背後から空を切る音。

「!‥」

 間一髪で避けたものの、間髪容れず前方からも刃が。

「欲しいもんがあんなら言ってみな」

 賊は答えない。

 只、執拗に切りかかってくるのだ。

(何だこいつ‥)

 考える間もない。

(何だってこんなに速ぇんだ‥!?)

 躱すだけで精一杯。

 太刀打ちなど出来る余裕はない。

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