《MUMEI》

 振り下ろされた刃を受け止めるも、じりじりと押されていく。

(まずいぞこれ‥)

 何故急に太刀打ち出来なくなったのだろう。

 以前なら、まだ増しに太刀打ち出来たものを。

(何でだよ‥)

「‥!」

 薙払われた刃が、右腕を掠る。

 咄嗟に飛び退いたが、既に傷を付けられてしまっている以上、正面な太刀打ちは出来まい。

「‥‥‥‥‥‥‥」

(片腕じゃあんまり意味ねぇんだよな‥)

 彼は相手を傷付けるつもりはない。

 只、自分を守る為に盾として刃を使うのだ。

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