《MUMEI》

「──無事か」

「ぁ、ぁぁ、何とか──‥」

「肩を貸してやる。‥歩けるか」

 雛菊に頷き、草助は華奢な肩を借りてゆっくりと歩き出す。

 空き家に入ると、雛菊は若人の手当てを始めた。

「随分と酷くやられたな‥」

 以前手当てした時のものよりも更に、深く斬られているのが分かる。

「なぁ、雛菊──‥」

「‥ん」

「よく分かったな、俺の居場所──」

「これでも苦労したのだぞ」

「──そうだよな──」

「何だ、急にしみじみとして」

「──ありがとな」

「?」

「追っかけて来てくれて、さ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫