《MUMEI》

「──リュート、食べないの?」

「! いえ‥、すみません、ぼんやりしてしまって──」

「疲れた?」

「いえ、只──」

「?」

「気になってしまって──」

苦笑しながら答えた僕に、アンリ様はにっこりとされて、

「夜のお楽しみだよ」

そう仰いました。

「夜になったら分かるから。ね?」

「──はい」

「そうだ──、後でいい物見せてあげる」

「いい物‥ですか?」

「うん」

「では──楽しみにしていますね」

アンリ様は、何を御見せ下さるのでしょうか──。

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