《MUMEI》
異常と云う日常
 確かに両親は悲しむかもしれない。だけど、このまま世界が失くなるのを怯えて見ているよりは、思い切り抵抗しよう。

「今や美紅は救世主たちの核となる存在だ。まだ十九なのにな。アイツは世界を背負ってる」

 世界の重みなんて解らない。救世主にならなければ、到底解りえぬものだろう。世界を背負っている、なんて言ったら、両親はどう思うだろうか。

「少しでいい。手伝ってやってくれないか」

 誇りに思ってくれるかな。世界を救う存在になるんだ。姉さんと同じ。いいえ。それ以上の存在に。

「わかりました」

「私、やります。救世主」

 姉さんの守ろうとした世界だ。姉さんの代わりに私はなれないかもしれない。だけど、私は救世主だから。
 世界を救うこと。それが私のアイデンティティー。

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