《MUMEI》

「じゃあ俺も小暮家のしきたりを守って浄土真宗になる訳だ。」

貰われる訳だしー。


「あんまり実家帰らんし。」

ぷい、と顔を背けた。
んまあ、まだそんな親不孝なこと言う。


「幹祐元気してっかナー?俺、将来的には俳優と農村を行き来するような生活もいいかなと思う。」


「似合わね……。農家舐めるなー?朝早いし肉体労働だし趣味の範囲でなんて甘い考えは捨てなよ。」


「意地悪だっ、国雄とならどこだってパラダイスだし。今の仕事だって辞めていいから。」

国雄と今まで会えなかった時間を取り戻したい。


「光は今の仕事天職だから駄目。
……働く姿が素敵ですよ、ぞくぞくする魅力がありますよね?」

耳元で不意に囁かれると弱い。


「もー!玩ぶな!
どーせあれだ、俳優の俺が好きなんだろっ!」

最後の食器を洗い終えたので国雄から離れる。


「嘘嘘、いつでも光ちゃんは素敵だって。何処までも付いて来てくれるのも嬉しいよ?それに俺も光となら何処でも…………」

……そういう事を言われるとキスしたくなる。


「……寝室掃除したよ?」

その辺も準備万端です。
言葉とか無しに勢いづき寝室へと駆け込んだり……
良かった。
国雄もそのつもりだったようでゴム持ってきてた。

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