《MUMEI》

「これね、私がずっと小さい頃に──お部屋に置いてあった物なの」

「そうなんですか──」

「今はもう使えなくなっちゃったんだけどね、でも時々──懐かしくなるの」

「アンリ様はよくこれで音楽を?」

「お祖母様がね、私が眠れない時によくこの蓄音機で音楽をかけてくれたの」

「優しい方だったんですね、御祖母様──」

「──うん」

頷かれたアンリ様は少し寂しげで──‥ですが、とても幸せそうな表情をされていました。

「そろそろ──戻ろうか」

「──はい、アンリ様」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫