《MUMEI》

夕方、紅茶の時間が終わり──テーブルを片付けていると、緩やかな旋律が流れてきました。

メロディを奏でているのは、アンリ様のヴァイオリン。

「───────」

僕は仕事の手を止めて、暫くの間目を閉じていました。

暫くして音が止むと、今度は別のメロディが始まりました。

おっと‥、あまりのんびりとはしていられないんでした。

今夜は少し早めに御食事を済ませておく事になっているので、そろそろ支度を始めなくては。

さて、何を御作り致しましょう──。

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