《MUMEI》

「なー?」


「 ふあ……」

光に果たして俺の声は届いているのか、虚ろな瞳になっていた。

大体、俺が前戯で可愛がってやると意識が飛んで行きかける。
服は全部脱がさないで俺の体を見ながら我慢させると一層淫らに喘ぐ……うーん、エロい子に育って。




「あ、なんで好きになったか思い出した。蛇に似てるって昔言われたんだ。」

触っていた口を離して突然思い出した記憶詮索に夢中になる。

「三人目の恋人に言われたんだ。」

四股かけてたうちの三人目ね……。


「……それだけ?」

内股を動かして最後までイけなかった分を晴らそうとするのを見落とさない。

両足を膝で固定する。


「きっかけだよね。ほら、山ばっかの田舎だからさ蛇もよく見たんだよ。」

嗚呼、つい意地悪いことしてしまう……。
光が先刻、幹祐の名前を話題に出してきたことにつまらない苛立ちと嗜虐心を煽られ、なんだか良からぬ方向へ……

「光、知ってる?」

俺もまだまだ青いってことか……。


「はなして……」

光の言う“はなして”はどっちだろうか。



「……蛇のセックス知ってる?逃げないようにまずは固定するんだ。」

囁きついでに耳の裏を嘗めてあげる。


「……んっ」

頭をベッドに擦り付け、長い首が反り上げた。


「で、逃がさないように喉笛に噛み付く。」

そのアーチを描く美しい首に歯を立てる。
じんわりと食い込み、呼気と汗が喉を濡らす。


「 んくぅっ…… 」

熱を持ち、鳥肌が立っている。
うっすら付いていた歯形から覗く赤みが美味しそうで舌を転がす。

「ふ……も、堪忍して……」

光があんまり恋慕を込めて言うものだから、俺も鳥肌が立ってきた。
熱い鳥肌だ。


「秘密基地の脇に黒い塊が蠕いてて、蛇が絡み合ってた。
ぐるぐる、
羽交い締められていやにエロいくて、黒く光ってグロテスクだった。」

服の中から突っ込む手は、蛇蝎のように鋭くしつこく配置を換える。


「……ふ、 もぉ…… 」

口元へチロチロと、遊ばせた舌を噛まれそうになった。


「……腰、いいくねりだ。」

震えている。
いい加減、涙目になって懇願する姿が可哀相になってしまって触ってあげることにする。

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