《MUMEI》
一握りの術
どうして気付かなかったんだろう。

兄ちゃんとぼくのたった一つの繋がりが、金の鈴だったのに。

兄ちゃんの鈴はぼくの手の中。 この鈴と一緒に
きっと何もかも置いていったんだ、


そういえば、ぼくはあの鈴何処にやってしまったのだろうか。
あんなに大切な宝物だったのに、どうして失くしてしまったんだろう。
大人になるとどんどん大切な物も失くしてしまうからなのだろうか。

兄ちゃんの事さえ、父さんも母さんも忘れようとしているんじゃないだろうか。

ぼくは?忘れてしまう?

  そんなの イヤだ

そうだ、鈴を探そう。 あの鈴で呼ぼう。

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