《MUMEI》

障子から差し込む光りから、まだ朝はやい時刻だとわかる。ゆっくりと体を起こすと、ひどく呼吸が荒かった。
ひどい夢を見た。
内容はあまり覚えていないけれど、怖い夢。指先に恐怖がこびり付いている気がして、軽くふってみる。
遠くで、小さく人の声がした。
だいぶ鼓動がおさまってから、ひたいの汗を拭う。 何だというのだろう。16才にもなって、悪夢で目が覚めるなんて・・・。薄く笑ってから、ため息をついた。
バカみたいだ。

ほっとしてから、あることに気付いて首を傾げる。妙に、部屋の外が騒がしかった。

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