《MUMEI》

「──御待たせ致しました」

御料理を御運びした時、アンリ様は何やらそわそわと落ち着かない御様子で、窓の外を御覧になっていました。

「如何なされました‥?」

「ううん、ちょっと──空の様子を見てたの」

「空の様子を‥ですか──」

その事と、アンリ様が今朝仰られていた事は、何か関係があるのでしょうか‥。

「後で──御部屋で待ってるね」

「──はい、後程御伺い致します」

楽しい反面──少し緊張した気持ちで、僕はアンリ様と御食事をしていました。

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