《MUMEI》 どのように「正平!こんな時間まで何処に行ってたの!」 嗚呼、私怒っている、こんなこと言いたい訳じゃないのに。 正平が玄関から入れないくらい怯えてしまっている。 「母さん……父さんのところで探し物してて、でも送ってくれたから平気だよ」 目が潤んでいる、今度から携帯電話を持たせよう。 「心配なのよ、何処にも行って欲しくないの。父さんにも渡したくないの。 父さんには昌が居たんだもの、当然だわ。意味、分かるわよね?母さんの子でしょう?」 もう落ち着いていいはずなのに、まだ高ぶっている。 「……兄ちゃんも母さんの子じゃないの?」 「そうよ、でも正平が1番なのよ?昨日昌の学生服を抱えてたでしょう。 びっくりした。正平も居なくなってしまう気がしてとても、怖かった。」 抱きしめる。離したくなくて。 「なんか違うよ。ぼくは母さんも父さんも好きだ。兄ちゃんも……、居ないと駄目なんだ」 正平が、腕の隙間から指を入れた。拒まれたようで不安になる。 この子、こんなにしっかりしてたかしら?……だって、私がいなきゃ何も出来なかったじゃない。 「離して、母さん」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |