《MUMEI》
愛は会社を救う(6)
丸亀が出て行った後、私は資料の山を前に再び業務に戻った。手近な所からファイルを手に取り、レトロな黒表紙に貼られた手書きのラベルを確認する。
『昭和○○年度 雑件(三)』
中には、会議資料や広報資材の原稿、果ては親睦会の会計報告まで、その年度に使用されたあらゆるペーパーが文字通り雑多に綴られていた。
続いて同じ年度の雑件ファイルを探し、ひととおり目を通していく。確かに、普通の人間がこれを整理しようとしたら、「引継ぎ」というプロセスが必要になるかもしれない。
(ここはひとつ外の空気を吸いに行くか)
私はポケットからスマートフォンを取り出し、リサーチしておいた資料から何人かの名前をピックアップした。そして、内容をすっかり把握したファイルを片手に資料室を出た。

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