《MUMEI》

「──失礼致します」

晩餐が終わり片付けを済ませた後──、僕は約束通り御部屋に御伺いしました。

アンリ様は僕を窓辺に案内して下さり、じっと夜空を御覧になっています。

「綺麗な星空ですね──」

「うん、でもね──これからがもっと綺麗なんだよ」

「これからが‥といいますと‥?」

「まだ秘密。でも、もうすぐ分かるよ」

「──はい」

この星空以上に綺麗な何か──。

それが何なのかは、まだ僕には分かりません。

ですが──、アンリ様が僕を楽しませて下さる御つもりである事は分かります。

もう少し、待つ事にしましょう──。

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