《MUMEI》
第九華
「草助‥何処へ連れて行くつもりだ‥?」

「いいから付いて来なって。そろそろさ、腹減って来たろ?」

「別に‥空腹になどなってはおらぬ」

「意地張んなって」

「意地など張っているものか」

「何でずっと膨れてんだ‥?」

「膨れてなど‥」

 おらぬ、と言い掛けた刹那、草助の手が雛菊の頬に触れた。

「なっ‥何をするっ」

「いや、だってさぁ‥」

「無礼者‥」

「おい、だから何でさっきから──‥」

「お前に言う必要は無かろう」

「──‥悪かったって‥。そんなに膨れんなよ雛菊‥」

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