《MUMEI》

「んで、何年か邸で働かせて貰ってたんだけど──‥」

「何か‥あったのか」

「‥止める事になっちまってさ」

「‥何ゆえ‥」

「あの時、令嬢が狙われてたんだ。‥俺は彼女を守る役目を担ってた──‥」

 草助は項垂れ、頭を抱える。

「でも‥守り切れなかった」

「邸から追放されたのか‥」

「俺がもっとしっかりしてりゃあって‥何べんも思った。‥だから決めたんだ。旅をしながら、一人でも多くの人を守ろうって」

「───────」

「わりい、陰気な話になっちまったな」

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