《MUMEI》

「そうだ。‥彼は私の恩人だ」

「‥だからと言って‥お前がその男を守る必要は有るのか」

「約束は絶対だ」

「‥成程な」

「恨みを晴らすと言うのなら‥私を斬れば良い」

「雛菊‥!?」

「黙っていろ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「私を斬れ。その代わり‥二度とこいつに近付くな」

「───────」

「どうした、刀を抜け」

「──実に五月蠅い小娘だな」

「‥私は小娘では無い。雛菊だ」

「‥!?」

 雛菊、という名を耳にした途端、男の顔色が変わった。

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