《MUMEI》
受信メール数三番
「うわ、ウザイね」


(出たな、三番目)


「暑苦しい、はなれろ」


俺は、後ろから抱きついてきた男


頼を振り払った。


(こいつ、本当に来たのか)


『大好きな祐也に会いたいから、俺もボランティア行く』


夏休み前も、それからメールでも何度も言われていたが、俺は信用していなかった。


「酷いな、大好きな祐也に会いにきたのに」

「「それは、こっちも同じ」」


頼と


志貴と、…何故か柊の間に火花が散った。


「志貴はわかるけど…柊は友情だろ〜?

俺の広い愛には敵わないよ?」

「俺の熱い友情はお前の愛には負けない」


(…柊



わけわかんないぞ)


それが俺の正直な感想だった。


「あ、あの〜」


そこに、申し訳ないように、小さな声が入ってきた。

「…松本」

「もう、皆揃いました。班長」


(そうだった)


俺は、この病院朗読ボランティアの班長だった事を


今、思い出した。


「じゃあ、事務室行くか」


役目を思い出した俺は、松本や他の図書委員達にそう告げて、歩き始めた。


「「あ、待って!」」


志貴はすぐについてきたが、後の二人は慌てて走ってきた。

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