《MUMEI》
班長の意味
「俺、班長じゃなくても良かったんじゃあ…?」

「でも、田中先輩がいなかったらあの三人来なかったし、班長じゃなかったら、あんなに協力してくれないと思いますよ?」

「複雑」


松本の言葉に、俺は苦笑した。


「ねぇ〜、班長!俺、柊と組むの嫌だ!
こいつ棒読みだし」

「頼の演技力でカバーしろ」

「え〜? 人使い荒いよ。じゃあ、かわりに後でちゅー…」

「お前、ボランティアの意味わかってる?」

「…イエス」

「よし、柊も頼んだぞ」

「うん!頑張るよ」





「ねぇ、祐也。何で私一人?」


(それは、志貴は女子と一緒だと意外と私語が多いから…)


「志貴は、この中で一番朗読うまいし、器用に読み分けできるから」

「本当?」


(嘘じゃないし…)


「本当」

「じゃあ、頑張る」

「よし」





「どうした? 松本? そっち三人いるから大丈夫だろ?」

「…はい」


(何か、見られてる?)


「田中先輩」

「何だ?」

「先輩は、やっぱり班長です」

「…?」


(どういう意味だ?)


松本の言った意味はわからなかったが、朗読ボランティアは無事に終わった。

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