《MUMEI》

「何か御望みの場所はございますか」

「うーん‥、ええと‥」

アンリ様はグルリと辺りを見回して、1つの店に目を留められました。

「あの店ですか?」

アンリ様の御好みとは、少し違うような気もしますが──‥。


「行こう、リュート」

「──はい、アンリ様」

何故アンリ様はあのお店を選ばれたのでしょう。

「あっ、ほらこれ──」

「?」

「リュートに似合いそう」

「アンリ様‥?」

「それとも──こっちがいい?」

「あの──、もしや‥」

「ふふっ、リュートにプレゼントしてあげようと思って」

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