《MUMEI》

雹里は顔を上げ、2人を見た。


「やったよヒョーリ!」


橙色の髪をした女の子が、雹里の前に一冊の本を見せた。


橙色の髪をした
女の子の名は
神無ひづき
(かんな)


本と立派なものではない、オリジナルの台本と言った方が良いだろう。


台本には手書きで、『王子たちの儚い恋』と書かれていた。


「先生からオッケー貰えたんだね」


「うん、そこでさぁお願いなんだけど、ヒョーリに王子役やってほしいんだ」

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