《MUMEI》

「1時間後だよ」

「ではまたその時になったら来てみましょうか」

「いいの?」

「はい。僕も見たいですし──」

「じゃあ、また見にこようね」

「はい」

「それまで──どうしようか」

「そうですね──‥」

「休憩する?」

「少々御待ち下さい。ベンチを捜してみますね」

「───────」

「アンリ様‥? 如何──‥、アンリ様っ」

倒れ掛かったその御体を受け止めた時、アンリ様の意識はありませんでした。

「アンリ様‥」

一体‥この御方の身に何が‥。

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