《MUMEI》
序章
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――――…1996年……冬………。



只でさえ陽当たりの悪い部屋は、カーテンを閉めきられ、どんよりと重い空気に満ちていた…。



少女は部屋の真ん中に置かれたテーブルの前で独り…



背中をまるめながら手先を動かしている――…。



少女は、大きめのスプーンの窪みに入れられた、耳かき一杯分くらいの白い粉を、マドラーの先端で丹念に擦り潰していた…。



やがてそれが粉微塵になったところに、水道水を数滴垂らすと…



細かく潰された白い粉は、難なく水に溶けていった…。

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