《MUMEI》

ポンプを目一杯押しこむと…



今度は、ゆっくりと引き戻す…。



するとポンプの中に赤黒い静脈血が逆流してきた。



少女はそれを押して、自分の血を再び体内へと戻していった…。



やがて少女の全身の毛細血管に薬剤が巡り、細胞の一つ一つを“覚醒”させてゆく…。



天国に昇るような爽快感とは裏腹に――…



その瞳は地獄をさ迷うように光を失っていった――…。



それはまるで廃人のように無邪気な瞳だった――…。



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