《MUMEI》
――― 10年後
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ある晩秋の真夜中…



午前零時頃…。



艶やかな詰袖に身を包んだ美しい芸妓と、醜い風貌の初老の男が、一枚の座布団を挟んで対峙していた。



二人は笑い合うでもなく………



語らうでもなく………



ただじっと、えんじ色した座布団の上に散りばめられた、色とりどりの"札"に目を凝らしていた…。



『ふぅ…む…………。』



男の口から吐息が搾り出されるとともに、禿げ上がったその額に一筋の汗が流れ落ちる…。



芸妓・〆華(シメカ)は氷の様な眼差しで男の小刻に震える指先を注視していた…。

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