《MUMEI》 男の指先に抓まれていたのは、茶色い裏地の小さな札だった。 男は追い詰められた亡者の顔つきで、最後の札を場に空切りする…。 …………パシッ! 軽い音を立てて放たれた一枚は、絢爛な色彩の「菊に盃」だった。 『来い来いッ!!』 そして男は、裏返しに積まれた山札の一番上から、一枚の札を祈りながらめくる…。 しかし… 『嗚呼!…畜生!』 男はその赤い札色を見るや怒りを露にし、口汚く吐き捨てた。 前へ |次へ |
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