《MUMEI》

「──‥?‥」

「! アンリ様──‥」

「リュート‥?」

「御無事‥ですか」

「うん、大丈夫──」

「ごめんね、びっくりさせちゃったよね」

「まだ‥横になられてらした方が‥」

「もう平気だよ」

「アンリ様‥」

「大丈夫だよ、何ともないから──」

「ですがアンリ様、万一‥」

「ちょっといつもより沢山歩いたから──知らない内に疲れちゃってただけみたい」

「御抱えいたしましょうか‥?」

「ううん、自分で歩けるよ」

アンリ様は御立ちになり、差し出した僕の手を支えに歩き出されました。

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