《MUMEI》

「死…神?…ちょっと待った、死神ってあの人の魂食べちゃったりとか」

「へ?自分阿呆やなーそんなんは人間が勝手に作った想像上の物や。俺をそんなちんけな物と一緒にせんといてーな」

「じゃ、じゃあ死神だって言う貴方は何をするの?」

「何も…俺は自分の暇を潰すためだけに存在しとる言わば放浪人や」

ニコっと効果音がつきそうな笑顔で
彼は言う

「暇を潰すためって…あれ?じゃあ死神さんは何でここにいるんですか?ここには何も無いじゃん」

「自分がおるやろ」
ビシッと指を指された

「何で私?」

「いやー実は最近人間が書いとる推理小説にはまっとんねん。で、俺も地に降りて実際に事件解決したい思っとった所に調度自分が殺されて死んでもうたやん!だからチャンスやと思ったんよ!」

顔をキラキラと輝かせて語る死神
なんかムカつく

「え?じゃあ私が殺された事件を自分で解決したいからここにいると?」

「当たりや!いやー物分かりええ子で助かったわー」

「…ん…な」

「ん?」

「ふざけんじゃねー!!何で私があんたの暇潰しに付き合わなきゃいけないのよ!死んだんならさっさと天国ぐらい連れていきやがれ!」

ドカ!
盛大に私の右ストレートが決まりノンブレスで言いきった
死神は倒れていたがすぐに起き上がってこちらを見た

「じ、自分本間阿呆ちゃうか!?いきなり右ストレートとか初対面やぞ!?しかもこんなええ話他にないんやで!?自分の事殺した犯人分かるついでに生きかえれるし!」

「いくら初対面でも関係ない!死んでから犯人分かっても生きてなきゃ意味な…生きかえれる?」

はぁーと死神はため息をついて立ち上がった

「せや、俺の暇につきおうてもらうかわりに自分を生きかえらしたる」

「ほん、とに?」

「本間に」

私が聞くと死神がうんうんとうなずいた

「って、簡単に言うけどほんとに生きかえれるの?」

バシ!

「いったぁぁぁ!」

私の頭に右チョップ

「自分なぁ俺は死神やで?神さんと同じぐらい凄いんやで?自分1人生きかえらすぐらいご飯炊くより簡単や」

「ご飯炊くって…」

「とにかく!」
死神が私の顔の前で指さし『犯人はお前だ』的なポーズをとった

「自分を生きかえらす!まぁ容姿や名前は変えるで?死んだ人間が生きてたら大問題やからな!だけど生きかえらすかわりに!俺の手伝いせえ!」

「手伝い?」

「俺が地に降りて事件解決する手伝いや!」

「…それでいいの?」

私が聞くと死神はにんまりと笑った

「やるかやらんか二つに一つや」

私は悩んで…決心した

「やる…貴方の暇潰しに付き合う」

「ええ顔しとるなー…契約成立や」

そしてまた笑う、寒けがするぐらいに


私は出会ってしまった
この死神に…
もう後戻りは出来ない

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