《MUMEI》 希先輩の進路(ん? あれは…) 朗読ボランティアが無事に終わり、病院の待合室付近まで戻ってきた俺の視界に見慣れた人物がいた。 「希、来てたんだ」 「うん」 (切り替え早いな) 頼に散々棒読みだと言われ 周りの子供達からもからかわれ 若干落ち込み気味だった柊はすぐに立ち直った。 「誰かのお見舞いですか?」 希先輩は見たところ元気そうだったから、俺は無難な質問をした。 「ううん。さっきまでちょっと進路の相談にのってもらってたの」 (進路?) 「看護婦になるの?」 志貴の質問に希先輩は首を横に振った。 「じゃあ、医者?」 頼の質問にも、希先輩は首を横に振った。 「じゃあ…」 「希は、カウンセラーになりたいんだって」 俺の質問の途中で、柊が正解を言ってしまった。 「この辺で、精神科と心療内科があるのはここだけだから」 希先輩が説明を付け加えた。 「祐希と同じじゃなくていいの?」 「頼…!」 俺は頼を睨みつけたが、希先輩は笑顔で頷いた。 「いろいろ迷ったけど、人を、肉体的にじゃなくて、精神的に支えられるようになりたいと思ったの」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |