《MUMEI》

「兄上‥何故こちらに‥?」

「今し方──婚礼の儀を執行うと父上が申されたのだ」

「父上が‥?」

「──草助」

「ぇ、ぁ‥はい」

「お主、我が妹を守り抜くと誓えるか」

「──はい、勿論です。この命に代えても」

「命には代えるな。私もお前を守ると言っただろう」

「ぁ‥いや、だから──」

「楽しいものだな」

「菖蒲様‥?」

「お主、気に入ったぞ」

「ぉぉ、草助が兄上に気に入られるとは‥」

「姉様ー!」

「菫‥?」

「ここにいらしたのじゃな」

「ぇ、こい‥、いや、この方が雛菊の──‥

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