《MUMEI》

「スーパーデラックスポジティブボール だ!」

「………。」


「………。」


「かっこいい!!」


「だろ!!」


すると、突然音も無く部屋の扉が開いたんだ。


俺は、盛り上がっていたところを邪魔されたから、
少しムッとして顔を上げた。


そして、声も上げられない程驚いたんだ。


父さんが立っていたから。


父さんの後ろには、
母さんが悲しそうな顔をしていた。

「何のようだよ。」


間髪いれずに颯ちゃんがそう言った。


「私は間違ったことはしていない。」


「は?」


「親である私が蓮翔を支えるのは当たり前だ。」


「だから?」


「間違っていない。」


「………本気でそう言っているのか?」


「…ああ。」


「これを見ても?」


颯ちゃんは俺の腕を引っ張った。


「痛っ!!」


鋭い痛みに耐えきれずに、
声を上げてしまう。


その声に俺の腕を掴んだ颯ちゃんの手が、
一瞬緩んだ気がした。


「これを見ろ!」

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