《MUMEI》
一泊340円
日本のホラー怖い……

あのいそうでいない心理攻撃……!


映画館は薄暗いし足元とか何かスーッて出てきたらどうしよう!

「ヒッ……」


「ごめんなさい驚かしちゃいましたね。」

安西の肘がぶつかっていただけでびびっていた。


「安西肘付くんだもん……」


「手、繋ぎましょうか?」

なんか俺、子供みたいだ。


「いいいいいいいいいい」


「はいどうぞ。」

違う、安西……断ったんですけど……なんかもう……いいや……怖いし……

だから、腕に巻き付いたとき少し楽になれたのは内緒だ。





暗い部屋の中……前にもこんなことあったような……なんだろう。

「……ナニ、それ。」

戻って来た水瀬によって我に返る。


「あぅ、あ…安西ゴメン」

いけない、俺……今、安西の指を……!


「いえいえ、腕一本くらいレンタルしますよ。一泊で340円です。」

……高っ!

自分でも無意識に……というか自然に安西の指をおしゃぶりしてしまった。
過去に俺は誰かの指をおしゃぶりしてたのか?


「あ、私希望するっ!」

うわ、水瀬がかわいらしい……恋する乙女だあ。


「流石に両腕貸したら辛いかもしれないですね。…………ね?」

顎に、しゃぶってしまっていた指を当てられた。
湿っている……ごめんなさい安西……


「ん、ビャッ」

ふと見たら調度ベッドの暗い隙間から覗く幽霊の目が合ったシーンだった。


「もー、五月蝿いよ……てか、ホラー見たかったの安西君?」

水瀬よく平然としてられるな……!


「いえ、間違って入っちゃったみたいで、出ましょうか。怖くなってきちゃいました。」

安西、いいやつだ。
腰抜かしてたからこっそり支えて誘導してくれる。
ありがたい……。

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