《MUMEI》

【最期まで彼女のそばにいられれば、それだけで良かったんです。
…僕が天界の眼から逃れ続けることさえできれば、
彼女に危険が及ぶことも無いですから】



そう言ったあと、シラユキくんは少し微笑んだ。



【…彼女は、昨日天国へ旅立ちました】



碧い瞳が揺れる。



【…もう、僕の役目も終わりです。
―…王が、来ます】




その言葉が終わったと同時に、




この場所のすべての音が消えた。




満月は雲に隠れ、光は閉ざされた。

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