《MUMEI》

『…シラユキ、ついに見つけたぞ』



大きな、力強い声が空から降ってきた。



シラユキくんは、ゆっくりと跪いた。



【…ご迷惑を、おかけ致しましたことを申し訳なく思っております】


『ふん。…もう遅いわ。
お前は極刑に値する罪を犯した。
命を持って償うがいい』


【仰せの通りに、…父上】



「―…父上!!?」



―…突然、椎名くんが大きな声を上げた。



『…お前は―…魂のほう、椎名みつる、といったな。
お前達に関しては、侘びを告げておく。
すぐに、元に戻してやろう』


「…んなこた、後でいいんだよ。
―…お前、そのシラユキの父親なのか?」



椎名くんが、空に向かって叫ぶ。



『…それが、どうしたと言うのだ』


「どうした、じゃねーよ!!
お前、自分の息子殺すのかよ!!?」


『…神の掟だ。そのような繋がり等、なんの意味も持たぬ』


「―…っざけんな!!何が掟だよ!?
こいつが、どんな思いで―…!!」


【やめてください!!】



椎名くんの言葉を、透き通った声が遮った。



【いいんです。…こうなることは承知の上でした。
―…僕には、なんの悔いも残ってませんから】


「でも―…!!」


【いいんです。…ありがとう】



シラユキくんは、優しく微笑んだ。



『…お前達2人には、侘びの印として好きなものを与えよう。
―…何が良い?金か??』


「んなもん、いらね―…」



私は、言いかけた椎名くんの口を手で塞いだ。


そして、空に向かって提案した。



「…お金なんて、いりません。
―…その代わり、取引をしませんか??」

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