《MUMEI》
「なぁ、雛‥、姫さ‥」

「雛菊で良い。お前に姫と呼ばれると何だか違和感がある」

「じゃあ、雛菊──あのさぁ」

「‥ん」

「俺な、いつかお前みたいに──‥体張って、ちゃんとお前を守れるようになるから」

　草助の言葉に、雛菊は苦笑を洩らす。

「もう守っておるではないか」

「？」

「私はお前に守られている。私もお前を守っている。そうだろう」

「──ぁぁ、そうだよな」

「草助」

「？」

「有り難う」

「ん‥、何だよ改まって──」

「私は礼を言ったのだ。ここは、何か言うべきであろう」

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