《MUMEI》

夜空を見上げて歩く帰り道。

「──御体は大丈夫ですか」

「うん、大丈夫だよ」

「あの、失礼でしたら申し訳無いのですが‥」

「なあに?」

「もしや、体調が優れないのは‥僕が」

「ううん、違うよ」

「ですが──」

「大丈夫。ね?」

「───────」

「リュート?」

「‥!」

「心配‥?」

「存じております。貴女様がそれを御望みでは無い事を。ですが‥」

「‥ごめんね」

「何故貴女様が──」

「リュートが思ってる通りなの」

「‥では‥」

「でもね、すぐ治るから大丈夫だよ。今だって大丈夫だし──」

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