《MUMEI》

あの時、この御方が貧血を起こされていたのは間違いありません。

それは僕が、血を奪うから。

「───────」

「眠れない?」

「‥いえ、大丈夫です」

「──吸わないの?」
「‥ぇ」

「私の──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

黙り込んでいると、アンリ様が、クスリ、と笑みを零されました。

「それじゃあ契約の意味がなくなっちゃうよ」

「──存じております‥」

「今日は歩き回ったからああなっただけで、お邸にいる時は何ともないよ。だから──安心して」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫