《MUMEI》 あの時、この御方が貧血を起こされていたのは間違いありません。 それは僕が、血を奪うから。 「───────」 「眠れない?」 「‥いえ、大丈夫です」 「──吸わないの?」 「‥ぇ」 「私の──」 「‥‥‥‥‥‥‥」 黙り込んでいると、アンリ様が、クスリ、と笑みを零されました。 「それじゃあ契約の意味がなくなっちゃうよ」 「──存じております‥」 「今日は歩き回ったからああなっただけで、お邸にいる時は何ともないよ。だから──安心して」 前へ |次へ |
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