《MUMEI》

「ぅゎ‥何かすげぇ‥」

 思わず呟いた草助に、雛菊が囁く。

「‥言葉遣いに気を付けろ」

「は、はい‥」

「良いな、お前は私の婿となり──私と共に歩むのだ」

「ぁぁ、いや、‥はい」

「では‥私は着替えて来る。お前も、家来達の言う通りに──きちんと身なりを整えるのだぞ?」

「ぁぁ、はい‥」

 雛菊が傍らから離れ、草助も支度に取り掛かる。

(あいつ、白無垢似合うだろうな──)

 無意識に零れる笑み。

 逸る気持ち。

「っし‥」

 気合いを入れ、若人は菊の間へと向かった。

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