《MUMEI》 襖が開かれ、二人が前に進み出す。 左右に並んだ家来、雛菊の親族達が、一斉に雛菊と草助を見る。 (おい‥みんな見てるし‥) 「二人、前へ」 「はい。‥草助」 「ぇ、は、はいっ」 草助はぎくしゃくとしながら、雛菊の歩調に合わせて進む。 やがて二人は立ち止まり、雛菊の父──芭蕉が祝辞を述べた。 そして芭蕉は、若人に向き直る。 「草助」 「はい」 「娘を頼むぞ」 「はい、必ずや幸福に」 草助の言葉に、芭蕉は満足げに頷き、今度は娘を見る。 「雛菊」 「はい、父上」 「幸せにの」 「──はい。有り難うございます」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |