《MUMEI》
前代未聞の大騒動
これは20年前に起きた 悲劇で傷を負った者の物語

菊地「私達は幸せだった。幸せで平和な毎日だった。なのに…なのに!!」

−赤城山大学某所−
菊地「実行委員全員を例の部屋に集めました。…はい、了解しました。」
ケータイ切る
菊地「連絡が来るまで、こちらで待機だそうだ。」
翔「あっ、はい!」
菊地「………」
翔「…綺麗な空ですね。」
菊地「曇りだ。」
翔「…でも、曇りは曇りで良いじゃないですか!」
菊地「何処が?」
翔「ほら、あの、よく見ると雲の間から月が見えるとことか!」
菊地「……変わった奴だな」
翔「そ、そんなことは」
菊地「名前は?」
翔「えっ?」
菊地「名前。ペアで動くのにやりづらいだろ。」
翔「あぁ。えっと、その…秋野翔です。」
菊地「翔か。覚えとこう。」
翔「……あのぅ」
菊地「何だ。」
翔「何で、先輩は御用学生を志願したんですか?」
菊地「…今必要な事か?」
翔「えっ?」
菊地「今は仕事最優先。そうじゃないのか?」
翔「す、すみません。」
菊地「………」
翔「ぼ、僕は家が貧乏で、母さんも、父さんも、僕を大学に出したばかりに満足な生活をしてないんです。だから、一流企業に就職して、両親を守りたいんです!」
菊地「………」
翔「あっ、その、つい熱くなりすぎて」
菊地「私も、君みたいなものだ。」
翔「えっ?」
菊地「だが、一流企業に就職したい訳じゃない。最悪、県庁の職員止まりでもいいと思う。」
翔「じゃあ、何で御用学生なんかに!」
菊地「君と同じだよ。」
翔「………」
[サイレンの音]
菊地「何だ!?」
翔「ああ、機動隊ですよ。」菊地「機動隊!?」
翔「はい、奴ら学生運動なんか起こすから、成敗されちゃうんです。今回、僕達はその手助けをしたまでですけどね。」
菊地「そんな馬鹿な…。校舎内には千草教授も。……麗子。」
翔「何処に行くんです!?」
菊地「見れば分かるだろ。校舎の中だ。」
翔「あっちへ行ったら貴方も捕まってしまいます!」
菊地「離せ!!」
翔「止めて下さい!もう手遅れです!!」
菊地「麗子ーーーーー!!!」
CONTINUE

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