《MUMEI》 式は無事、幕を閉じた。 「あれ、雛菊どこ行ったんだ‥?」 「どうか──なさいましたか」 「ぁ、あの‥雛菊知りませんか‥?」 「その御方でしたら、恐らく裏手の方に」 「裏手‥?」 「はい。行って差し上げて下さいませ」 「貴女って‥ひょっとして、雛菊の付き人ですか‥?」 「はい、風鈴と申します。もう付き人ではございませんが」 苦笑しつつ風鈴が言うと、若人は申し訳なさそうな表情を浮かべた。 「如何なされました‥?」 「すいません、姫様を‥」 「貴方はあの御方が選んだ殿方。──姫様の全てを貴方に託します」 「ありがとうございます」 草助は深々と頭を下げた。 そして、雛菊の居る場所へと向かう。 しっかりと、前だけを見つめて。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |