《MUMEI》
最終華
「祖母様──、私も貴女のように‥人々の役に立つ事が出来るでしょうか‥」

 私はまだ弱い。

 自分の身も満足には守れぬ。

 一人では無理やも知れぬ。

 ですが、必ずや。

「お、いたいた」

「草助‥」

「それ、陵(みささぎ)か‥?」

「ぁぁ」

「立派なもんだな──」

「何をぼんやりしておる。お前も拝むのだ」

「ぁ‥、ぁぁ」

 草助は私の傍らに来、手を合わせた。

「んじゃあ──行くか」

「そうだな」

「寂しいか?」

「いや、私にはお前が居る。それに──」

「?」

「お前となら、出来る気がするのだ。人々を救う事が」

「だな」

「‥草助──」

「どうした?」

「有り難う」

「こちらこそ」

「──ふふっ」

「雛菊?」

「さぁ、落ち落ちしてはおられぬ。参るとするか」

「っし、じゃあ先ずは団子屋だな」

「何を言うておる、何処で危うい目に遭うておる人がおるか分からぬのだぞ」

 そう言った私に、草助は笑い掛けてきた。

「腹が減っては?」

「戦は出来ぬ」

「って事で、団子屋に出陣」

「おいっ、こら待てっ。私を置いて行くなっ」

 私はまだ弱い。

 だが、あの男となら‥。

「おーい、どうした?」

「どうもしてはおらぬ」

 私は、この男と歩んで行く。

 例え、どんな困難が立ち塞がろうとも。

 私は、この男に付いて行く。

 それが、私の選んだ道だ。

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