《MUMEI》 だが、対照的に声は鋭かった。 颯ちゃんが指差した方向には、 傷ついた俺の腕があった。 その傷は、腕だけでなく顔、背中、足………。 至る所にある。 これは、俺が試合や練習中でミスをした時、 父さんから殴られて出来た傷だ。 その傷を、颯ちゃんは痛々し気に見ている。 「蓮翔ちゃんをこうまでする必要あるのか?」 「………。」 「蓮翔ちゃんを自分の都合の良いように使いやがって………。」 「………。」 「蓮翔ちゃんは道具じゃない。 蓮翔ちゃんはアンタの都合の良い道具じゃない。」 「…何が言いたい?」 「蓮翔ちゃんに少しでも自由ってもんがあっても良いんじゃないか?」 「自由だと?」 「そうだ。」 「それは駄目だな。」 「どうしてだよ。」 「今までの苦労が全て無駄になる。」 「なんだそんなことか。」 「?」 何を考えてるんだ? 颯ちゃん……? 「無駄にさせなければいいじゃねぇか。」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |